地盤調査でよく聞く、軟弱地盤ってどんな地盤ですか?

地盤調査を行い、建物を建てるうえで改良工事が必要な地盤の事です。軟弱地盤が多い場所の傾向として、三角州(河口付近にできた三角上の地形の場所)、後背湿地(一般に水田のある、水が長期間滞留した場所)、潟湖跡(昔、海があった場所が陸地化して干拓地になった場所)などがあります。いずれの場所も水と縁のある場所であります。

逆に安定した地盤は、丘陵、台地、段丘、扇状地、海岸平野(液状化に注意)、自然堤防などが挙げられます。

軟弱地盤の土壌の状態を専門的に説明すると、土壌の粘着力が小さい、また、せん断角度が小さい土壌を指します。

具体的に、住宅で軟弱地盤と定義されている条件は地盤調査としてスウェーデンサウンディング試験を行い、基礎底面下2mまでの支持力の数値が30kN/㎡を満たさない地盤、また、基礎下面下2~5mまでが15kN/㎡を満たさない地盤は軟弱地盤とみなされます。これは、告示の1113号で示されています。

地盤改良の種類を教えてください

地盤改良には大きく分けて①固化工法と②締固め工法があります。

① 固化工法をさらに分類すると「表層改良工法」と「深層混合工法」があります。

「表層改良」は、軟弱層と呼ばれる弱い層が地面表面から深さ2m迄ある地盤で採用る工法です。セメント系の粉の様な「固化材」を地面の土に混ぜてその固化材が硬化する事で表面を固めます。

「深層改良工法」は、ミルク状の液体(固化材)を、地盤に穴をあけながら混ぜることで、円柱状に硬化させる工法です。

いずれも、固化材による地下水の汚染などが問題になっています。固化材に含まれる六価クロムが土壌を汚染してしまうのです。六価クロムは発ガン性物質で、土壌から地下水に浸透して、結果、地下水も汚染してしまいます。また、固化工法で地盤改良した土地を売却する場合、原則、地中の埋蔵物などは撤去して引き渡す事になりますが、コンクリート状になった地中の残存物を撤去する事は難しく、大きな費用が発生する事が短所としてあげられます。

② 締固め工法は、杭穴を掘った外側から砕石を供給して、棒状の振動体で砕石を平行振動させて砕石を締め固める工法です。十分に砕石を振動させ、しっかり締め固めて砕石がぎゅうぎゅうに詰まった柱状体を作り、その柱状体で建物を支えます。固化工法の様な固化材は使わない代わりに、一つ一つがバラバラな砕石同士が力で釣り合っている状態を作り出すために、施工の精度が求められます。

以上の工法は、いずれも地盤の地中深くの支持層と呼ばれる硬い地盤から建物を支持する工法です。

その他、駒状の物を地盤表面に並べることで土壌を締め固める「コマ工法」、発泡スチロールで土の重さを置き換えて(軽量化する)建物を支える「置き換え工法」、土木で使用されているシート工法を応用し、住宅用に改良した「ジオクロス工法」などがあります。

地盤改良が出来ない地盤ってどんなのですか?

地盤調査のデータを見ていると地盤改良が必要な弱い地盤であるのに、どの工法でも完全な改良が出来ない地盤も稀にあります。「未分解腐葉土」と呼ばれる、落ち葉が堆積した土壌(湖のそばに見られます)は、現在でも最適な地盤改良法がありません。それは、「未分解腐植土」は、腐葉土が堆積してできた未分解の植物を大量に含み、空気層をたっぷり含んだスポンジの様なフカフカした地面です。大規模な、杭基礎工事などを行う事になります。

杭基礎工事は、地盤表層付近の状況にはあまり左右されませんが、深い場所にある洪積層(砂礫)や沖積層(粘土層)と言った硬い地盤(支持層)まで杭を埋めなくてはなりません。その支持層は場所によって深さが違います。自分の土地の支持層がどの位の深さにあるのか、それは地盤調査を行うまではわかりません。一般的な木造2階建てなら沖積層を探すことになりますが、10m以上杭を埋める必要がある場合もありますし、大きなビルを建てる場合は、洪積層まで30mもある場合もあります。なので、大変大きな費用が必要になります。

地盤改良って必要ですか?

今までは、2階建て以下の木造建築に関しては、地盤の調査を行ってから建物を建てることはあまりありませんでした。

しかし今は、国の法律によって新しく建物を建てる場合、地盤の調査を行い、さらにその内容によっては「地盤の改良」を行う様に定められています。

また、大切な資産である建物が文字通り基礎から傾いてしまっては資産価値が大きく下がってしまいます。それは、不同沈下が起こってしまい、建物が5/1000以上傾いてしまうと、扉が勝手に開いたり建てつけが悪くなることで隙間が出来たりします。身体で感じるようになると健康に被害が出る場合もあります。家の傾きを簡単に調べるためにゴルフボールやビー玉を家の中で転がしている様子をテレビの特集で見ることがあると思います。

地盤の中身は、目で見てもその土地の過去を調べたとしても、本当に内部がどうなっているのかはわかりません。地盤調査会社の調査データと地盤の専門家の判断の上、改良の必要があるとなった場合は必ず改良が必要です。

どんな軟弱な地盤でも対応できますか?

地球上にはいろいろな地盤がある事を説明しましたが、その地盤の中身がどの様な構成で出来ているのかは、専門の「地盤調査会社」が調査を行い、どの様な地盤であるか解析をします。その解析結果から、「地盤の専門家」がどんな改良が良いのか、判断をします。

様々な地盤があるように、地盤改良の方法も様々です。オールマイティな地盤改良工法は無いと言ってもよいと思います。適材適所な工法が必ずあるので、「地盤の専門家」と相談しながら決めていくことが大切です。

また、数ある工法ではコストに大きな差があります。高額な工法を選んでも、地盤と建物に適さなければあまり意味はありませんし、基礎にお金ばかりかかってしまいます。実は、建築物の建築費を見ると、地盤改良にかかる費用はとても大きく、工法によっては総額の10%を超える場合もあります。しかし、前述の通り、高い工法が必ずしも安心ではないのです。地盤の解析結果をよく分析して、安価で安心出来る工法を選ぶべきです。

また、環境負荷の少ない工法を選ぶこともこれからは重要です。
そんな事も考えながら最適な地盤改良工法は必ずあります。

地盤改良ってなんですか?

地盤改良ジオクロスユビファ建物を建てる時、まず初めにやる事の一つに、建物が建つ土地(地盤)の内容がどうなのか調べます。
地盤は場所によって様々です。山の上や谷合、元々田んぼだった場所、極端に言えば砂丘だってあります。
その地盤を掘って土の種類を調べるとその土の種類にも、粘土質・砂質土・がれき(礫)・腐植土など様々です。

さらに掘り進むと水脈にあたったりと、実に様々な表情が地面の下には隠れているのです。
100ヶ所調べると100通りの状態が見られるのが地盤なのです。

私たちが田んぼのあぜ道から長靴を履いて田んぼに入ると足首まで泥の中に沈むと思います。それと同じで、重い建築物をそのまま建ててもビクともしない強固な地盤もあれば、そのまま建てると徐々に沈んで(地盤沈下)しまい、中には建物が傾いてしまう(不同沈下)地盤もあるのです。

そんな弱い地盤(軟弱地盤)に人工的な改良を加え、地盤沈下と不同沈下を抑制して安心・安全な家を作る事が「地盤改良」なのです。