無駄を省く地盤改良:擁壁編

擁壁工事(ようへきこうじ)は盛土や切土作業に於いて、斜面が崩れないようにするために行う工事で、土留工事とも呼ばれています。土留を目的としていますが、隣地境界を明確にするために設置したり高低差をもって地面の活用にも使用します。新築時に行う擁壁工事(擁壁から建物が近い場合)は擁壁の自重と家の荷重を含めて、擁壁下部の地盤の支持力が重要になってきます。そのため、擁壁工事をして擁壁ギリギリに建物を建てる場合は地盤調査を施し、解析し、十分な検討を行うことが重要です。

新築計画時に家の配置を検討しましょう

宅地を有効活用するために家の配置を擁壁に近づける事はよく見受けられます。隣地との落差や地盤にもよりますが、地盤改良・地盤補強が必要な場所だった場合、擁壁を先につくると、地盤改良・地盤補強工法の選択肢が狭まり、トータル施工価格が上昇する場合があります。擁壁自体も家の一部と考え、地盤調査を基に検討することがコストダウンに繋がります。

事例1

造成工事時にL型擁壁(H=1,000・W=700)を施工し、盛土を施した。盛土後、地盤調査を行った所、盛土(H=1,000)下-500付近まで軟弱層であった。判定は柱状改良の施工が必要であるとのこと。家の配置は擁壁から500で検討していたが、柱状改良施工の場所が擁壁幅700+影響幅を考慮して、擁壁から1,300離れなければ改良できないとのことであった。

上記の場合、先に軟弱層を把握することにより、L型擁壁の下部も支持地盤まで改良し、その上にL型擁壁を施工すれば、家の配置も擁壁から500で施工することは可能になります。また、柱状改良ではなく、表層改良にて対応できるため、改良コストも下げることができます。

事例2

高低差3,500ある擁壁工事現場(延長50m)にて、擁壁高H=3,500のL型擁壁を設置し、埋戻をした所、3週間後に不同沈下を起こし15cm沈下した。擁壁下部を地盤調査した結果、擁壁下部より2,000が軟弱層であることが判明。L型擁壁の自重(約6t)+盛土材の荷重が軟弱層に圧力を加え圧密沈下したと判定された。

この現場のロケーションは丘稜地(きょうりょうち)の谷底の沼地を埋め立てた所でした。施工時に基礎砕石・基礎コンクリートの厚みを増やすなどの対策をしていたみたいですが、効果がなかったことになります。この現場では盛土材を一度撤去し、設置したL型擁壁も取外し、設置下部の軟弱地盤をセメント系固化材にて改良後、擁壁工事をやり直しました。

擁壁をつくるということは地面を有効活用される場合に用いられるとおもいます。擁壁施工後の地面のためにも地盤調査をし、地盤を知ることにより、傾かない擁壁施工が可能になります。

擁壁の種類

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